なめこの倉庫

自転車をぐふって受けとめる、川に就職した人に話をきく、泣ける広島県をディスるなど。

ろうそくが地球になる日‐募金なんてしなくていいという話

 

 

日暮れから夜にかけてひたすらろうそくが燃えるだけの催しが、愛媛県のちょっと大きめの公園で、毎年行われています。万灯会(まんとうえ)っていうらしい。
私も遊びにいって、ろうそくに火つけて帰りました。

 

受付(ちっさいテント)に行く
  ↓
100円わたす
  ↓
チャッカマンもらう
  ↓
好きなとこ火つける(確かひとり3個まで)
  ↓
帰る

 

3月・8月の年に2度あります。趣旨ですが、東日本大震災の被災者へ追悼の意をこめて…というのが目的だそう。受付での100円は寄付金になるそうです。有志が集って毎回やってるそうな。

 

いやあ、お疲れ様です。

 

その中に私の後輩もいます。彼は、過去に東北ボランティアに関わって以来、愛媛で地道に防災活動的なのしてます。大学の学祭でもち売ったりとか、愛媛の野球の試合の横でもち売ったりとか、あとは東北郷土料理教室ひらいてもちつくったりとか、防災そなえよう教室やったりとか。

 

よくやれるなあ、と思う。

 

そんなことより、あかりがきれいだと思うんです。

 

私がこの催しに行く理由は、後輩がいるからです。友達に会えるからです。先輩がすすめるからです。きれいなあかりが好きだからです。酔える景色が好きだからです。冷たい夜風にあたるのが好きだからです。人の輪からそっとはなれるのが好きだからです。ひとりでこっそり、ろうそくの森の中を練り歩くのが好きだからです。練り歩きながら、将来どうしようか、ああこんなのもいいなあ、そういやこんなことあったなあと、回想するのが好きだからです。

 

「東北復興を願って」の理由はあんまりないです。回想の中に「数年前に復興ボランティアに行った」という事実をまぎれこませるくらい。別に、ボランティア行ったこと無かったとしても、ここに来てると思います。だってきれいだし。

 

ろうそくじゃないけれど、東北で復興がんばってる人の映画の上映会を、愛媛で開催したこともあります。知り合いにやろうぜって言われたから。そのとき手伝ってて唯一(!)楽しかったのは、キャッチコピーを考えることでした。

 

パンフレットの表紙の、映画のタイトルの横に、ちいさく副題をつけることになり、みんなでうーんうーん言って案を出していきます。(言うてすぐ終わる)その過程がすごく楽しかった。どんどん出してたと思います。結局わが子はおじゃんになって、他のが採用されて、ひとりですごく悔しかった。

あとは、映画みる会場に、言葉でわなを仕掛けようじゃないかって案だしてるとき。「今、地震が起きたら、どこに逃げる?」とかいうのを、出口に貼っとこう的な。きみほんとに考えてる?ここ防災学ぶスペースだからね?って煽りたくてたまらない。

 

   *   *   *

 

後輩と比べてどうだ。復興なんてどうでもいいんじゃないか。

防災もそんな熱いれなくていい派です。後輩クンの大事だよね~と言ってるわりに、人間死ぬときは死ぬからわたしは別にいいやと思ってしまう。選挙は恋だって叫んでたら、「選挙好きなんだね」「がんばってね」って言われますが、どうでもよく思っています。愛媛の若者の投票率が低くても高くても大丈夫だと思っています。大丈夫じゃないなら、これは私がやるべきことではなくて、他の人がやるべきだと思っています。

 

とってもわがままでしょう。それでもいいと思っています。

 

身近な友達が、若者の投票率がきわめて低い!なんとかしなければ!って啓発活動してて、すぐそこでやるもんだから当然近くで様子を見てて、「これのがもっとよくない?」「私ならこうするのに」って考えだして、じゃあ文句言うなら自分でやればと思って、私の文章がどこまで通用するかわくわくしながら「選挙は恋だ」を書きました。

 

東北に旅行にいったとき、友達がボランティアであくせく動いている間、食って遊んで観光してました。道中、電車でおじさんと相席になりました。「どこから来たの?」みかん県からです~、昨日はどこ行ったの~みたいなしょうもない話をしました。

 

「ボランティアのことなんですけど。復興だと言って、若い人が来てくれて、でもきっと自己満足で終わることも多いじゃないですか。へたすれば迷惑で。そんなことにお金使われてるんだったら、その飛行機代を、現地の食べ物買うことやまんま寄付にまわせって、思いませんか」

 

おっちゃんは「そうやなあ」と言った気がするし、ちょっともごもごしてた気もしますが、すぐにこう言ってました。

 

「でもね、それでいいんよ。それでいい。そうやって、おもってくれることが。」

 

 

駅についてしまったので、短時間ですがありがとうございましたとお別れしました。会話のなかで、「しかし、べっぴんやなあ」と何度も言ってくれたのが、やっぱにやけます。いま思えば、おっちゃん酒臭くて、酔ってた。あれっなにこの悲しさ。ホームにつっ立って、ぼーっとしてました。

 

私はもち作りはしない・しようとも思えない分、違う関心の持ち方や、違う方法での表現の仕方があるんじゃないだろうか。

 

   *   *   * 

 

 

今月、台風18号による被害がでてました。私は私がこれに募金したいと思ったから募金します。あんまり、みんながみんなしなくてもいいと思います。世界にはいろんな問題が溢れていて、どの人も「これこそ大事なんだ!どうか目を向けて!」って叫んでるけど、そんなの全部に目をむけてたら干からびて死にそうです。オリエンテーション毎に「他よりもこの分野が一番大事。生きる上で大切だからね」って言ってくる大学の教授みたいです。

 

貧困、難民、ホームレス、待機児童、地方が消えること、氷水をかぶること、ネパールのこと、私には解決もできなければ興味すらわかないことがたくさんあります。だから、災害復興に興味がない人は募金しなくていいし(ほんとに)、かわりに私が興味を持てないこれらに興味を持ってもらえてたらいいし、これら以外の興味でもいいし、興味を持つ先はべつに悲しいことじゃなくて楽しいことでもいいと思います。たぶんそれは、あなたにできても他の人にはできない。この世はうまいことできている。

 

ただなにかの拍子に、ボタンとれたみたいに「あっ。」ってなった人が、募金したらいいと思っています。ということで募金先を置いときます。ちなみに私が副題考えることにキャッキャしてたときの、映画の主人公のNPO団体です。 

www.sakura-line311.org

もしくはヤフーさんなんかも募金やってるし、こっちでも。個人的には桜ライン311さんを推しておきます。私が関わった人たちがやっているからです。私の出会った人々をつむいで出てきたものだからです。実際に会った人だから、その人達が動いてくれる姿が、ちょっと生々しく想像できるからです。べ、べつに、好きとかじゃないんだから。

 

 

冒頭写真は、ろうそくのあかりを真上から見たもの。千個のろうそくが芝生一面に広がる風景を、一歩ひいて見渡せば圧巻。素敵。デートに最高。ですが、たまには足元を覗きこむのもよし。

 

同じものを見ているはずなのに。なんで気づかなかったんだろう。

とても、とてもきれいだった。

 

 

ろうそくが地球になる日。

出来ることを、出来る範囲で。

もとい、できることを、したい範囲で。

 

 

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

■酒くさいおじさまからヒントを得た作品がこちら!

neimuko.hatenablog.jp

 

■若者の投票率低下に危機感を抱いて必死に書いた作品がこちら!

neimuko.hatenablog.jp

 

 

■倉庫の中の人