【2/3】「選択肢を持ってほしい」‐東京にいったり少数民族に会いにいったりする子に話を聞いてみる
(前エントリ:【1/3】「価値観を揺るがす旅をしたい!」‐東京にいったり少数民族に会いにいったりする子に話を聞いてみる)
かちたび、かちたび言ってる原畑さんに、ちょっと話を聞く。
名前: 原畑実央(はらはたみお)
特徴: 勢い
みかん県に生まれる
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みかん県の大学にいく
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新卒入社、東京で働く
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みかん県にわざわざ旅行しにくる(いまここ)
■今なにをしているか
なめこ: 東京の生活はどう?
原畑: もうつかれたよ。
なめこ: はや。
原畑: だってさ、待ち合わせのために新宿まで30分つかって移動したりとか、あそこ行きたいなっていう本屋が9階だったりとか、なんだか、いちいち大変で!
なめこ: 慣れない田舎者が消耗してる。
原畑: 刺激的な人多いし、起業家の人達も多いし(なぜか起業家が好きらしい)、愛媛にはないものもたくさんあって楽しいけど、もういいかなって。
なめこ: そうか。東京うれしくないか。
原畑: あ、でもむっちゃ楽しいよ。仕事もして、オフは明日はパプアニューギニアの人と会う。ガイドボランティアしてくる!楽しみー。パプアの人髪もじゃもじゃやった。また写真とかおくるね。
なめこ: 普通に楽しんでるね? なぜに愛媛旅行…個人的に気になるのは、なんでエイトワン?
みおさん: 大学4回生になって、東京で就活して、終わった頃くらいかな、その時からいろんな地方活性化セミナーに足を運んでて。エイトワンの社長の大藪さんを、そういうところで2回見たんやけど。そんときすごく、自分を反省したんよ。恥ずかしいって。
なめこ: 恥ずかしくなるの?
(※大藪さん:なんかすごい人。愛媛で起業。)
原畑: 松山ダメやんって思ってたんね。やりたいことやるなら東京や!みたいな。すごく盲信してて、そこに大藪社長の話が聞こえて、すごく上から目線だけど、地元でもこんな人いたんだ!みたいな。なんかすごい人いる!みたいな。こんな若い人が。
なめこ: うんめっちゃ上から…
原畑: あと、楽しそうって思った。他にも、リクルート出身で、都会の人を地方に呼ぶみたいな事業をされてる方とか、大企業にいたけど島に移って盛り上げようとしてる人とかの話を聞いて、単純に「楽しそう」って思ったんよね。就活のときは愛媛の企業なんか1社も受けなかったんよね、東京しかないでしょって。魅力とかをちゃんと調べてなかったなあ。
その時ちらっと思ったのが、東京にこだわる必要あったのかなって。それもあって、実はこういう働き方・企業もあるんだっていうのを知ってほしいなあとは思ってたんよ。それもある。
なめこ: なるほど。
原畑: いざ東京で働いてても、大藪さんが雑誌でインタビュー載ってるの見たりとかさ。東京で愛媛の人の活躍が出てるのがすごくうれしくて。影響大きく受けたね!会社にいるおじいちゃんの先輩とね、一緒に大藪さんの本読んだりとか(笑)
■わざわざ「旅」をつくる理由
なめこ: 旅を企画したのは、外に出て気づいた地元のすごい人達を、東京の人にも知ってほしいなって思ったから?
原畑: いや、なんかね。東京の人と話していたら、東京しかないというか、この生活捨てれん!って言ってる人も少なからずいて。情報も集約されるし便利やし人多いし、って。それを見て、他の選択肢も知ってほしいなって思った。地方で生きることや、地方の魅力とか!
なめこ: ほう、本当にいるんだ…
原畑: 実際に行動したいって思ったきっかけが、とある友達なんだけど。今東京に住んでるけど、長い海外生活の影響か、東京での生活はせわしいって、将来的に地方で働きたいと考えてるって聞いて。そういう子を、松山に連れていってみたいなあって思ったんよ。話したら、すごい興味あるって言ってくれて。ああ、じゃあ、したいなあって。そこが初めてかな。
なんか、価値観揺らいでほしいんよね、当たり前って思ってることが当たり前じゃないことがあるってことを見てほしい! それで、価値観揺らいでもらうためには、ただ話を聞いたりするだけよりは、実際に経験するのが大事だなって。
なめこ: それでもこの旅、農業推しだよね。エイトワンの中でもほら、白青(しろあお=愛媛の器のブランド)とか、伊織(いおり=愛媛のタオルのブランド)でなく、エイトワンファームを選んだのは?
原畑: たしかに!伊織とかもすごいもんね。実は、今年のゴールデンウィークに、ウーフってところに行ったんやけどね。
なめこ: ウーフ?
(※WWOOFジャパン: 経済発展ばっか見てるこんな世の中。なんか浮き沈みの激しい現代社会。そんな中でも幸せを感じながら過ごせる社会をつくりたいと、地道な活動をしている団体。日本の農業を元気にする、人を大切にする、食に関心を持つことなどをすすめている。原畑さんはここのツアーに参加したらしい)
原畑: 消費者と生産者が近いのが理想というのを聞いたんよ。食が分断されてるんだなと。食べ物、スーパーに並んでるだけじゃん。じゃあ、(分断に逆行するためには)直接農家の方に会えばいいんじゃないかと(笑)
そして人々の消費も変わったらいいなと思う。実際に会うことで、じゃあ自分はこういう野菜を買おうかなみたいな。消費者が消費をするから供給者もそういう供給をするわけで、消費が変われば供給も変わると思ってる。
そんな旅を考えていたら、さっきの渡部さんや吉川さんに会えることになったので、私らとそういう人達がつながれたら。プラス、まだ分かんないけど、農業者同士のつながりもできたらうれしい。
なめこ: なるほど。価値観揺らいでほしいことに、すごくこだわってるよね。
原畑: 自分がそういう体験をしたからかな? 以前東北に行ったとき、貨幣に頼らない暮らしをしたい、自然エネルギーを導入している、みたいな人がいて。うわ実際にやっとんやって、びっくりしたことがあって(笑) 今はこんくらいまかなえてる、将来的にはここら一帯を自然エネルギーにしたいって。
テレビでは難しいとか聞くけど、何それできとるやん!って思った。そして、「こんな生き方もあるんや!」と。そこのおばあちゃんたちのふれあいも素敵だった。そういうのを地方でたくさん感じてね!
なめこ: 素敵っていうのを、行って初めて思ったんだ?
原畑: うん。そして、そこで話を聞いてたら、東北では大学で盛岡、仙台にいって、そのまま東京に行っちゃうって、戻らないって。愛媛は地元定着が多いけど。だから高齢化もすすんでるし、実際私が行ったのもお年寄りが集まっているところで、若い人が来たってだけで喜んでもらえて。
なめこ: へー。
原畑: だから最初は東北ツアーをやろうと思ってて、自然エネルギーできてるやんって、びっくりしてほしかった。こんな生き方があるんだに加えて、ここに住みたいって思ってもらえたら、すごくいいなって。この生活を頭の片隅にでも置いてもらえたら、将来仕事を選択する大学生とか、移住の選択肢を持つこととか、少なからずきっかけを作ることができるんじゃないかって。
■経験が先にある
原畑: あと、実は夢のひとつというか、ツアー自体はいつかやってみたいなって、ずっと言ってたんよね。元々人となにかを話し合ったりするのは好きで、大学生の時もIFつくったりはしてたけど。
( ※IF(イフ):若い人で、こむずかしい話でもなんでも話し合える場が欲しいと感じ、在学中に「場」を提供する団体をつくる。「話し合おうの会」など複数回開催。毎回決めるテーマは、政治から恋愛までさまざま。東京でもやってるんだとか。)
原畑: でも「話し合いの先に経験がある」とも思ってて。議場でそれぞれの価値観を知ることも勉強になるんだけど、加えて経験があれば、また違ってくるんじゃないかって。
なめこ: 話し合いの先に経験がある、とは、つまりどういうこと?
原畑: え?どうなんやろう?
なめこ: どうなんやろうw
原畑: たぶん、自分が話してることは全部経験からきてるんね。経験が先。当たり前と思っていたことが、当たり前でないことのほうが近くて、世間一般で言われていることがいいとも限らない。これが、愛媛で出会った人、東北でのボランティア、海外の旅の経験からきてる。
当たり前って思ってることが当たり前じゃない!と思ってるんだけど、それは経験したからこそ。自分が価値観揺るがされたので。みんなにも、見てほしい、知ってほしい!
なめこ: 経験したらもっと話せる自分になるのかな。
原畑: あー。話し合いには限界があるよねってことかも。IF話し合おうの会でも、他の人の話を聞いて初めて、「自分はこう思う」って、意見が立体的にはなるものの、話し合いばっか偉そうにして、おまえら偉いのか!みたいなのも、たまに言われるよね。話してどうなるんみたいな。
なめこ: あ、言われるんや。
みおさん: そこに経験を上乗せ。たとえば…ホームレスの人の支援ボランティアとか、いくら話きいたところで「なんであんな人たちに」って思うかも。でも実際ボランティアしてみたら、必要だなって意見を持てることもあると思っていて。そこには「ボランティア」っていう経験がひとつ、はさまってるよね!
なめこ: ああ。
みおさん: 農業に接する機会とかないと思うんよね、なかなか。すごく免疫ないと思うから。でも食べものは毎日食べているんよね。そこで実際に農業体験しちゃえば、消費行動が変わって、そこからTPPの問題みたいなふつう考えないことも、ちらっと気になったりとかね。それが選挙の投票の行動に現れたりとか。
経験は、自分がどういう社会をつくっていきたいかの、ひとつの判断基準になるじゃん。参加者にそこまで求めてはおらんけどね!
なめこ: なるほど。話して、経験して、価値観ゆらいで、その先にはなにがある?
原畑: 根本にあるのは、より良い社会をつくることやね、それに寄与したいっていうのがある。地方にひとり、就職する人がでたり、農業分野に興味を持って、補助金もらって農業始めてみたいなとか(笑)。そしたら実際にひとり移住するし、数値としてあらわれるよね!
就活の時にすごく思ったけど、自分の経験からしか、こういう職業に就きたい!っ出てこないんよね。PRもできないし、「これを経験してこう思ったのでこう解決したい」とかも出てこない。本を読んでてこの数字に危機感を覚えた!とか、ないじゃん。
なめこ: たしかに(笑)
原畑: ひとつの経験をもつことで、知ることを覚えて、単純に楽しいじゃん。人生って、学ぶことが楽しいと思うんよ、それだけで。人の意見きくのたのしい、学ぶのたのしい、そういう知識あったんだ、って。自分は楽しいなって思う。そういう人がIFにも来てくれるんかな?
よくさ、興味があったのでこのリンク見てみたとか、応募したとかあるやん。そういうので人生ってわりと変わるじゃん。今、国際交流の実行委員をしてるのも、ある人からリンク送ってもらって、それがきっかけで参加していくうち楽しくなって。ひとりの人がくれる情報で人生変わることも。そういうきっかけを作りたい。んで、社会を良くしたい。
▽「社会を良くしたい」? なぜそう思えるんですか。