なめこの倉庫

自転車をぐふって受けとめる、川に就職した人に話をきく、泣ける広島県をディスるなど。

ポキッと折れて―川に就職した先輩にいろいろ聞いてみる【2/3】

  (前エントリ:川に就職した先輩にいろいろ聞いてみる【1/3】) 

 

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■ 元々ひきこもってたそうで

 

なめこ: 学生生活も就活も、アクティブ青年だったんですか。

 

まつ: いえ、就活は悩んでました。大学に入った理由も、大学生活楽しみたい、くらい気持ちだったので、将来こうしたい!というものはありませんでした。目標は大学生活で見つけられたらいいかな~くらい。学生団体やNPOに足を運び、いろんな考えや価値観に触れはしたんだけど、結局最後まで分からなかった。


だから、4回生になっても、就活真っ最中のはずだけど当然やる気が起きず、1年休学することにしました。将来のことをじっくり悩みたかったから。あと、学生って、なにかと融通きくじゃん。

 

なめこ:(こいつは…)

 

まつ: その休学している間に、セミナーとか、いろんなところ行ったんだよね。その中で、プロジェクト・アドベンチャーという物に興味を持ちました。

 

なめこ: プロジェクター何ですか?

 

まつ: ワークショップ型の人材育成の方法で、体を使うんだよ、ほら人間知恵の輪的な。実際の体験を通して学習する方法です。それを学ぶ合宿に参加して、それがすごく楽しくてさ、「これだ!」って思った。進む道がやっと見つかったと思いました。そして、その道の先生に会いに行った。東京にいる方でね。

 

なめこ: 「先生のところで働きたい」って言ったんですか?

 

まつ: それもそうだけど、「先生みたいになりたいんです!」って言いました。あわよくば弟子入りしたかったけどね。その先生はすごい人で、海外で学んで、日本に持ち込んで、その分野では最先端の人でした。サッカーのアンダーの人らにも指導したりとかさ。

 

けど、バッサリ切られたんです。「そんな甘くないよ。学んでる人は大学の段階から学んでるし、就活の段階でこられても」と。あと、言ってしまえばこれ、「手法」のひとつに過ぎないから、どの立場でもできるんだよね。教授の立場でもできるし、体育の先生でも、ボランティアでも、なんでも。

 

「どの立場でやりたいの?」って言われたとき、俺は単に先生みたいになりたかっただけだったから、どの立場とまでは考えてなかった。自分ではめちゃくちゃ頭使って考えてるつもりだったけど…

 

なめこ: つもり、だったんですね。

 

まつ: そうだね。「あれ?」ってなったよね。休学までした先に見つけた進路だったし、長い大学生活の末に見つけたのに、「あれ?」って。冷静に返されてしまって、ちょっとショックだった。俺もだけど、先生も「そんな感じで来られても」って困ってたかな。それで、「帰ります」って言って、帰った。

 

なめこ: 帰ったんですか(笑)

 

まつ: うん。

 

なめこ: そんなに揺らいだんですか。

 

まつ: よく考えたら、なにも考えてなかったなと思って。
断られたとき、それでも弟子入りするほどの勇気がなかったんだよね。それに、まだ遊びたい気持ちもあったかも。まだ社会に出たくない、他にやりたいこといっぱいある、って。英語もまだまだ勉強したかったし、語学ってすごく時間がかかるじゃん。(※まつさんは英語系の学科出身)


100%の気持ちで挑んでいなかった。本当に気持ちが強い人なら、否定されても弟子入りすると思うけど、俺は言えなかった。言えないってことは、俺まだそういう段階じゃないのかなあと思った。「これだ!」と思ってたけど、実はそこまでの覚悟はなかったんだね。それで、ゼロに戻りました。いや、マイナスに落ちました。

 

なめこ: 反動激しいですね。

 

まつ: それが3月の出来事だったんですが、4月になって、大学で新しい学期が始まるよね。ひきこもった(笑)

周りにも宣言してたんだよね、「俺、こうなる!これがやりたいんだよ!」って。なのに、連絡とれないぞあいつみたいになって、大丈夫かみたいな…

 

なめこ: 激しい…

 

まつ: でもまだ授業残ってたし、学校には行かなければならない。進路も夢もあるわけでもないのに、ただ単位をとるだけのために授業に行かなきゃいけなかった。ぼろぼろでした。夏休みもほとんど部屋にいて、アニメと動画ばっか見てた。カスや。

 

なめこ: カス(笑)

 

まつ: このまま消えてなくなりたいーみたいな感じだったよ(笑)
そのまま夏休みも終わって、秋になって、卒業が近づいてきて、とりあえず卒業前にいろんな人に会いに行くっていう…

 

なめこ: そこで、アウトドア先輩と出会ったんですね。

 

 

 

■ 2人に共通する「ポキッと折れた経験」

 

なめこ: 私も似たようなことがあって、ポキッと折られた経験があって。
学生生活シメの、卒業論文のテーマを決める時です。

自分のゼミは比較的自由で、逆に自分で全て決めなきゃいけなくて、どうしようって迷いました。それは卒論後の話も含め、ですよね。就職はどうするか、どう生きていくんやお前って感じの。進路も含め、今後のテーマを探していた時に、ハマったのが韓国語の勉強で。

 

まつ: 意外だ。

 

なめこ: まあルーツがあって、勉強してたんですよ。それで調子乗ってですね、韓国語ガチでやりたいって言い出して、卒論のテーマにも韓国語をからめたんですよ。

当時、道後オンセナートが始まるくらいの頃で、それにも興味あって道後のほうとかいろいろ見てたんですけど、観光客いっぱいいるじゃないですか。中国、台湾、韓国とかそこらへんの。

 

で、通訳がいるんですよ。道後オンセナートがある1年間だかなんだか、雇用創出で通訳の枠がつくられてて。実際、自分で道後に遊びにいったとき、いたんですよ、韓国語の通訳のお姉さんが。

で、私、「これになろう!」と思って(笑)。そのときは、松山市内(みかん県の首都)で生きようという想いが特に強かったのも重なって、松山市で住める×韓国語使えるってなって、すごい発見だと感動しました。

 

まつ: わかる、それめっちゃわかる(笑)

 

なめこ: 私は、語学専攻なわけではなかったので、韓国語だけを卒論のテーマにするんじゃなくて、地域の問題もからめようと思い、道後オンセナートを卒論で書こう!と。どうせあたしここで働くもんみたいな。それを、ゼミの先生に言ったんですよ。そしたら、バッサリ(笑)

 

まつ: その感じわかるw

 

なめこ: 反応がまつさんと一緒だったんですね。あんだけ自分で考えてるつもりだったのに、いざ否定されると、それでもやる!という根気はありませんでした。
なんでだろうって考えたら、たぶん、自分の内々から湧いてきた「これしたい」ってよりは、外にあったもので無理やりピース作って、「これでいいや」って思ってたんだと思います。先生もそれを見抜いてたんだよなと。

 

 

■ゴールデンサークル

 

まつ: あのさ、ゴールデンサークルって知ってる?

 

なめこ: いえ。

 

まつ: TEDの人気な動画のひとつで、結構有名なんだけど。「考え方」の話で、優れたリーダーは他の人と考え方が違うって話。例えばジョブズとかキング牧師とか。

 

ゴールデンサークルを俺の解釈で説明すると、まず、丸が3つ重なってる。

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1番中の小さい核部分が、whyなんだよ。なぜ、なんのために、って意味。次がhowで、一番外がwhatで、それをゴールデンサークルっていうんだけど。

 

普通の人は、whatから入るんよね。それに対してジョブズは、なんのためにという、哲学とか信念の部分から考えた。その次に、じゃあどのようにしたらいいのかって考えて、その結果がアップルとかiPhoneができた。決して、iPhoneを作ってから「俺はこうしたいんだ」ではないって。

 

なめこ: へー。

 

まつ: それを知って俺、whatから考えてしまうのが浅い感じがしてさ。whatにあんまり興味がいかなくなって。そうするとどうなるかというと、不確定要素に身をまかすことが多くなった。
なめここの前、「10年後の自分は想像できない」って言ったじゃん。俺は想像してたのよ。

 

なめこ: 前、輝いてたときですか?

 

まつ: うん、休学して夢が見つかって輝いてたとき。俺こうなるんだ!先生みたいに!って。サッカーの日本代表にも教えるんだ!って。

 

なめこ: でっかい。

 

まつ: めっちゃきらきらしてたよ。めっちゃ考えてるつもりだったんだよ。けど、ポキッて折られて。俺多分頭わるいわ。

 

なめこ: 幼き頃のあの日々に比べて、今のまつさんは、「高い目標」が先にあるわけではないですね。先になにかあって、そこに行った、ではないですよね。自分がどうしたいとかいうwhyの部分を先に想像して、それに沿って流れてたら、まつさんは川にたどり着いて、今はインストラクター的なのを目指していると。結果、それがwhatだと。

 

 

 

■ 価値観のはなし:何を軸にするか?

 

まつ: うん、ほんと、不確定要素なんだよね。まわりにも、そういう人が結構いてさ。たとえばワトソンくんとか。

 

なめこ: あー。 

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(ワトソンくんプロフィール: まつさんとなめこの共通の知人。みかん県の大学を卒業し、車の会社で2年働く。今は本州で福祉の勉強をしている)

 

まつ: 俺もだけど、みんな、「何してるか」は気にならないのよね。

 

なめこ: 自分が何してるか、ってことですか?

 

まつ: うん、今仕事なにしてるか、仕事してるかやめたかっていう、whatのところ。みんな、迷ったりやめたりする中で、何しようが絶対、自分の道は進んでるっていう安心感はあるから、今何していようが、あんま気にならないというか。感覚的なことだけど。俺も最近そんな感じ。

 

なめこ: へー。

 

まつ: 速いんだよね、回転が。ワトソンくんとかもう、仕事して、やめて、次専門学校で、「何」は気にならないよね、もはや(笑)

 

なめこ: ワトソンくんは、以前働いていた場所は車の会社でしたけど、その会社を軸に生きてるってよりは、ワトソンくんそのものが軸で、このときは自動車会社だけど次は福祉の勉強で、いつのまにか、くるくるーって。


車→福祉となると「え?なんで?」ってなるはずが、なぜかつながってるなーと思ってしまうんです。

ワトソンくんが学生時代、震災を目の当たりにして、そこで何もできなかった無気力さがあったらしくて、人生の転機だったらしく、自分の大元はそこなんだ!みたいなのを言ってました。あと、車の会社も結局、震災を通して出会ったとかなんとか。だから、「今のこの人のwhat」は別に気にならないというか…

 

まつ: やっぱり、その人の中で全部つながってると思う。やめたりしても、自分を歩んでいく人たちなんだろうなって。そういうのを見てたら、「何してるか」はそこまで気にならなくなったかなあ。

 

 

▽続きはこちら:whyとは別の丸で、doも大事なんです。

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